のぶゑadtechへの道

のぶゑ アドテックへの道 FINAL完結!白熱の本番

2016.10.17

のぶゑ アドテックへの道 FINAL
完結!白熱の本番

社員一人ひとりがその能力や個性を最大限に活かしていきいきと働くことができる環境整備を進め、多様で自由な発想を持って生産性を向上することで自社の競争力強化につながる価値創造を行うため、ダイバーシティ経営を推進しているペンシル。その一端を担い、ペンシルのダイバーシティモチベーターとして、週1回気づいたらいつの間にかオフィスにいて、いつの間にかいなくなっている存在が「あなたの のぶゑ」です。
のぶゑはペンシルのコンサルタントでもなければ、マーケターでもありません。そんなのぶゑが「アドテック東京」に出ることになりました。「アド」でも「テック」でもないのぶゑが、日本のトップマーケターたちになにを伝えられるのか。これは、のぶゑのアドテック本番までの道を綴った記録です。

ついに本番!

2016年9月20日(火)〜21日(水)、東京国際フォーラムでアドテック東京2016が開催されました。その初日に行われた、アドテック初のLGBTセッション。

LGBTという言葉が少しずつ知られていく中で、多くの企業が「興味はあるけど、どうやってアプローチしたらいいの?」というのが本音ではないでしょうか。

当事者が今何を思い、どんなことを感じているのか、実際に会って話を聞く「LGBT座談会」から始まり、株式会社プリンセススクゥエアー様でのLGBTセミナーを通じて、LGBTを取り巻く環境と企業に求められる対応を考察してきました。
企業がLGBTとどう向き合えば良いのか?に焦点をあてて、のぶゑの活動をご紹介してきた「アドテックへの道」もいよいよ集大成です。

本番では、注目が高まっているLGBT市場に先んじて取り組んでいる3社が集まり、「注目されるLGBT市場についてマーケッターが知っておくべきこと」をテーマにディスカッションを行いました。
セッションには多くの方にご来場いただき、熱心に耳を傾ける方、メモを取る方など、LGBT市場に対するみなさんの関心の高さが伺えました。
今回は熱気を帯びた本番の様子をお届けします。

【D-1】 注目されるLGBT市場についてマーケッターが知っておくべきこと
2016年9月20日(火)12:40 – 13:30
セッションURL:http://adtech-tokyo.com/ja/session/session.html?num=D-1

登壇者

登壇者

セクシャルマイノリティに向き合う企業をマーケティング視点でサポートするLGBT総合研究所の森永様。
2016年6月の創業以降、当事者と企業のコミュニケーションをサポートし、新しい価値の創造に取り組んでいます。

他社に先駆けて2015年11月より死亡保険受取人に同性パートナーを指定できるようにしたライフネット生命の岩田様。
業界初となるサービスは、メディアでも大きく取り上げられ話題になりました。

そして、ペンシルののぶゑ。
これまで当事者自らがLGBT市場について語ることはあまりありませんでしたが、企業と当事者の両方の目線で冷静にマーケットを分析します。

ちょっとその前に
LGBT・セクシャルマイノリティの購入意識調査

LGBT市場への参入をためらう企業が多い中、セクシャルマイノリティ当事者はどのような意識で日々買い物をするのでしょうか。当事者向けのアンケート調査を行いました。
LGBT・セクシャルマイノリティの購買意識調査(2016年8月実施)

スライド

まず、商品やサービスの購入にあたり、その企業がLGBTに理解があること、何かしらの配慮があることが重要と考える当事者は76%にも上ります。
LGBTフレンドリー企業であるかどうか、それは当事者の購入意識に大きく影響するということが分かります。

では当事者がLGBTフレンドリー企業をどうやって知るのかというと、SNSの情報やイベントの協賛がきっかけです。
LGBTフレンドリーの発信には、SNSやイベントの協賛が効果的と言えるのではないでしょうか。

続いて、LGBT支援方針やレインボーマークを掲載しているコーポレートサイトは、LGBTフレンドリーと感じると約7割が答えています。
企業がLGBTをどのように応援するのか、自社の考えを明確にしている企業に、当事者はフレンドリーと感じる傾向があります。

また、CMやWEB広告でセクシャルマイノリティに関して不快な思いをしたことがある当事者は約半数。
具体的には、「男性が美女を追いかけるシーンで振り返ったら厚化粧のオネエでがっかりという内容で、トランスジェンダーへの偏見を助長するのではと思った」という意見や、「男性同士の友情を同性愛のように捉えて茶化す場面があり、その企業の商品は二度と購入者しないと思った」など、知らず知らずに当事者が心を痛めるような広告が流れています。
特にトランスジェンダーを茶化したり、ゲイやオカマという表現を使って面白がるような内容は当事者の反感を買いやすいということが分かりました。

スライド

LGBT当事者は、セクシャルマイノリティだからという理由で偏見の目にさらされ、カミングアウトできずに隠れているなど、社会的な制約を受けてきました。
とてもデリケートで、様々なハードルが高くなっており、LGBT市場はこんがらかった市場と言えるのではないでしょうか。
そのこんがらがっている状態を少しでもほどくには、表面的なLGBTフレンドリーな発信はとても危険です。欧米では、不買運動につながる事例も起きています。
そうしたリスクが高い市場ですが、当事者を理解して課題を解決するために寄り添ってくれる企業には、当事者から寄ってきてくれるのではないでしょうか。

LGBT・セクシャルマイノリティの購入意識調査
〜 まとめ 〜

買い物時、LGBT支援企業の商品・サービスであることを重視する当事者は76%。LGBTフレンドリーの発信は、SNSやイベント協賛が効果的。LGBT支援方針やレインボーマークを掲載したコーポレートサイトだと7割がLGBTフレンドリー企業と感じる。当事者の半数がCMやWEB広告を見て、不快な思いをした経験あり。その企業の商品は二度と買わないと思われることも。

注目されるLGBT市場についてマーケッターが知っておくべきこと

LGBTは人口の5〜10%程度いると言われており、LGBT市場規模は5.9兆円とも言われ、大きな注目を集めています。
こうした市場をどのように開拓したらいいのか、各社注目していますが、宝の山を見つけたようにLGBT市場が儲かりそうだからと安易に市場に参入するのは、炎上を引き起こすリスクも。
では、マーケターはどんなことを知っておくべきなのでしょうか?白熱したディスカッションで出た意見をご紹介します。

パネルディスカッションの様子

現在LGBT市場が抱える課題とは?

“当事者が不快と感じることすら知られていません”
LGBT総合研究所 森永貴彦

  • LGBTに関する知識が国内企業には足りないと感じています。当事者が不快に思うということすら、当事者ではないストレートの方にしてみれば、LGBT当事者にとってそれが不快かどうか、まだまだ知られていません。LGBT当事者との対話が必要だと思います。

“プロジェクト発足からサービス開始まで2年半。当事者に分からないことは正直言っていいと言われて、気が楽になりました”
ライフネット生命 岩田慎一

  • 当事者向けのサービスを開始するにあたって、WEBサイトをつくり、そのサイトを数名の当事者に見ていただいて、企業の意図が正しく伝わっているかどうかを聞きました。企業が意図していないところで誤解を招いているような表記や、もっとこういう風に言い換えたら当事者は嬉しいと思う、といった様々なアドバイスをいただきました。そうしたやりとりの中で企業も学ぶことは多かったです。ある当事者に「LGBTを怖がる必要はないですよ。ただ、分からないことは分からないから教えてほしいと聞いてくれると当事者も嬉しいので、どんどんアドバイスします」と言われました。それまでは、当事者とコミュニケーションを取るにはハードルがあると感じていましたが、分からないことは正直に言っていいんだと思って、それ以降は自然体で対話ができるようになりました。

  • 当事者と企業がコミュニケーションをはかるのは、お互いに高いハードルを感じているかもしれませんが、企業から「どうですか?」と来てくれるだけで、当事者としては随分ハードルは下がります。

当事者が企業に求めること

“当事者から必ずと言っていいほど「特別扱いしないで」と言われます”
LGBT総合研究所 森永貴彦

  • 企業の商品開発のお手伝いをさせていただく際、当事者にグループインタビューを行っています。そのときに当事者から必ずと言っていいほど「特別扱いをしないでほしい」と言われます。特別扱いしないでほしいというのは、変わっているとか、何か支援が必要なのではないか、といった視点でLGBTを見ないでほしいということです。男女二元論のように今まで男性・女性が当たり前だったのと同じように、LGBT、その他のセクシャリティの方々も当たり前のように扱ってほしい。特別な存在として見るというより、対話の中でどんな人なのか興味を持ってほしいというのが当事者の一番のニーズではないかと感じています。

  • こういうやり方をすればLGBT市場に参入できるということはなくて、実は当事者と対話をしないと対応策が見えてこないと思います。

LGBT市場で求められるアプローチ

あなたののぶゑ

“こんがらがった市場をほどくマーケティング”
ペンシル あなたののぶゑ

  • コーポレートサイトにレインボーマークを掲げればOKというものではないです。逆に単にレインボーマークを掲載するだけだと、何も考えていないことが露骨に分かってしまう可能性があります。

  • ご年配の方やお子様など、お客様に合わせてサービスを提供するのと同じように、LGBTに合ったサービスを提供する必要があると思います。ただ多くの企業が、LGBT当事者に合ったサービス提供の仕方が分からない状態だと思いますが、画一的な方法はないと思います。

“企業の配慮は当事者に伝わります”
ライフネット生命 岩田慎一

  • 例えば、性別確認欄は保険の申込み時には、男性と女性では病気の発生率など異なりますので、男女の確認が必要です。でも、申込み後のアンケート調査では、マーケティング調査上、どうしても性別を聞いた方がいいときは、「男性・女性・その他」という風にアンケートフォームはすべて変更しています。お客様からお褒めの言葉をいただくので、企業の配慮が伝わっているのかなと思います。

  • 最近は性別確認欄をなくす企業もありますが、性別欄をなくすことが正しい・間違っているということではないと思います。性別欄をなくすのも1つのチャレンジだと思いますし、海外では50以上のセクシャリティを選べるようにしている企業もあります。カテゴライズされること自体が嫌だと思っている当事者もいますし、セクシャリティの選択肢をたくさん設けてくれてありがとうと思っている当事者もいます。常に当事者の声をどれだけ吸収してケアしていくかが何より大事だと思います。

“これをこうしたらいい!という答えはそもそも存在しません”
LGBT総合研究所 森永貴彦

  • 性別確認欄をとってみても、様々な考え方があって、画一的な解決策はないと思いますので、企業の業種や売りたい商品について、当事者とまずは対話をする必要があると思います。どうしても画一的になりがちで難しいのですが、商品にあった方法で、当事者の意見を取り入れながら作り込んでいく必要があると思います。

  • LGBTと言っても当事者はそれぞれ違いますし、LGBTに当てはまらないセクシャリティの方も多くいるので、これをこうしたらいい!という答えはそもそも存在しないと思います。当事者と対話を重ねながらやっていくのが重要ですね。

“当事者に寄り添いながら問題解決”
ペンシル あなたののぶゑ

  • この商品に関してはこういう風にLGBT当事者に配慮しよう、別の商品についてはこんな風にしよう、と企業によってやり方が変わってくると思います。まずは当事者を知るということで、LGBT当事者はどんなことに困っているのか、どんな風に生活しているのかを調べたり、当事者に聞いてもらったりすることが大事だと思うので、企業はそこから始めていただいたらいいと思います。ほどくマーケティングは、LGBT当事者に寄り添うような方法で、問題を解決するようにしていただければと思います。

  • LGBT市場参入に躊躇していると、いつの間にか自社だけ置いていかれて、気がついたらLGBT当事者とコミュニケーションが取れない状況になっているということが今後起こり得ると思っています。当事者も自分たちのことを気にかけてくれている企業はどんなところがあるのかと関心も高い時期だと思いますので、ぜひぜひチャレンジをしてみてください。

注目されるLGBT市場についてマーケッターが知っておくべきこと
〜 まとめ 〜

まずはLGBTを正しく知ること。表面的なLGBTフレンドリーは炎上のもと。次に当事者との対話。当事者が何を望んでいるか、怖がらずに対話すること。LGBT市場へのアプローチに近道なし。デリケートな市場に画一的な施策は通じない。当事者との対話を通じて、自社にあった方法を見つけることが大事。

登壇者

メディア掲載

本番の様子がメディアに掲載されました。

http://www.campaignjapan.com/article/アドテック東京2016-が示唆すること/429871
http://www.campaignasia.com/article/takeaways-from-adtech-tokyo-2016/430003

終わりに

see you around!

半年に渡り、様々な取り組みをご紹介してきたアドテックへの道も最終回を迎えました。無事に本番が終わり、ホッとしたのも束の間、のぶゑはLGBTを含めた多様な人々がありのままに生きられる社会を目指して、ダイバーシティを広める活動を続けて参ります。そんなのぶゑから今後も目が離せません。

LGBT座談会にお集まりいただいた当事者のみなさま、アドテックへの道をいつも読んでくださる方、今日初めて読んでくださった方、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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