PENCIL DIVERSITY ペンシルダイバーシティ経営

介護を経験したことで、人生観の変化と自分らしく生きるという覚悟が生まれた。

2020.09.02

介護を経験したことで、人生観の変化と自分らしく生きるという覚悟が生まれた。

-福岡オフィス PIC天神 平川 佳代子

ペンシルでは、社員一人ひとりがその能力や個性を最大限に活かして生き生きと働くことができる環境整備を進め、多様で自由な発想を持って生産性を向上することで、自社の競争力強化につながる価値創造を行うため、ダイバーシティ経営を推進しています。

超高齢化社会の日本では、介護の問題は誰もが避けて通れないものです。平均年齢が30代のペンシルでもそれは同じこと、多かれ少なかれ誰もが将来の介護について不安な気持ちを抱えているのではないでしょうか。そんななかで多いときには一度に6名もの介護をしながら、仕事と介護を両立させてきたPICの平川にその秘訣について、また介護を通して自身の変化について本音で話してもらいました。

いつからペンシルにお勤めですか?

2007年に通販コンサルティングをしている部署にアルバイトとして入社しました。仕事内容は現在と同じ、クライアントの月次レポート作成や調査、チェック作業など運用業務です。ハローワークに出ていた求人に、在宅勤務など柔軟な勤務が可能とあり、私が探していた条件に合致したため、応募し採用していただいて現在に至ります。当時は週4日出社して10時から15時までの時短勤務でしたが、その後介護が始まり、現在は週1日だけ出社し、残りの日は在宅で勤務しています。

PIC平川

なぜ在宅勤務を?

10年くらい前からですが、すでに担当するクライアントの毎月の業務も固定化され、自宅ではできない仕事ではなかったこと、もともとフリーランス気質があったこと。あと一番大きな理由は、あるときから介護が自分の身のうえに重くのしかかってきたことですね。

現在も進行形ですが、2年ほど前まで私と主人それぞれの両親4名に子どものいない叔父叔母夫婦を加え、多いときで合計6名の介護をしてきました。現在は2人減り4名になりましたが、最初に叔母が75歳で要介護5と認定されたときには、まさかこの後私ひとりで次々と介護を続けることになるとは想像もしておらず、介護のことも何も知りませんでしたので必死に勉強しました。

ただ、介護保険制度が整備されている現在では、介護の仕組みや介護サービスの利用の仕方を理解してしまえば、介護はまるでプロジェクトを預かるディレクターのようなものです。まずは、主治医の意見と市区町村の担当者による聞き取り調査から現状を把握し介護認定を受けます。そのうえで要介護状態にあったケアプランを介護のプロであるケアマネージャーと作成し、しかるべき施設やサービスを決定し、日程調整のうえで送り出す。施設以外の場所となる自宅にはヘルパーさんを手配してこちらもスケジュールを調整します。

PIC平川

介護と仕事の両立はどのように?

よくいわれることですが、ポイントは自分で介護をしないこと。実際に介護をしてくれる人をコーディネートするのが、家族である私の仕事です。プロの方にお任せできることは割り切ってお任せし、家族にしかできないこと、例えば思い出や昔ばなしに付き合うとか、自分でなければできないことだけを担当します。

もちろん、自分の親や親族ですから事務的に手配だけで終わるものではありませんが、自分の仕事は仕事として継続したかったので、介護する親たちには自分の気持ちを話し、ずっとそばにいる介護はできないことを理解してもらいました。また、介護については私だけで決められることでもないので、自分の兄弟や家族にもきちんと方針を話して納得してもらいました。介護の大変さを周囲に理解してもらえないことで必要以上にストレスがかかることもあるようですが、私の場合には周囲の理解があったことにも助けられましたね。

私の介護歴は10年以上になりますが、6人の介護で一番大変だった時期にもペンシルの仕事を一度も辞めたりお休みしたりはしていません。ありがたいことに、介護のために仕事を減らしてほしいとお願いすることもなく、なんとか今日まで仕事を続けることができました。

逆に考えると、仕事があったからこそ介護ができたところもあると思います。介護は子育てと違って楽しいものでも、先の明るいものでもありません。手がかかる方にしか進んでいかないし、家のなかの狭い世界のことです。そんななか仕事をすることで社会とのつながりを感じられたり、仕事のことだけを考えて過ごす時間を持てたりすることが大きな気分転換になりました。

介護の経験で学んだことは?

それはたくさんありますよ。人はひとりでは生きていけないことやみんな同じように老いてゆくことも学びました。それまで普通にできていたことができなくなって、自分も将来必ず誰かの世話になる。年をとることで大変になることも多いけれど、こう工夫すればいいとか、別の方法があるとか、自分の介護のときに役立つんじゃないかなと思っています。

また、生き方や介護の仕方も時代とともに変わってきています。以前は介護とは家族が自宅でするもの、仕事を持っているなら辞めないとできないものでしたが、手を動かす部分は介護のプロにお願いしていいという考えに変わってきています。あと、長生きこそが美徳で一分一秒でも長く生きるべきという考え方がありましたが、今は口からものを食べられなくなった高齢者が胃ろうをした状態で寝たきりのまま何年も過ごすのか、延命せずに自然に任せるのかなどを選択できる社会になってきています。

介護に加え数年前には、私自身が大きな病気を経験しました。入院して手術を受け、現在も治療を継続していますが、介護や病気など人には逃げられないこと、どうしようもないことがあるのだとわかりました。どんな状態になってもそのときに自分らしくできることをやっていくという覚悟ができたと思います。

PIC平川

現在も介護中のなか、プライベートは?

介護認定を受けながら一人暮らしをしている91歳の母、それから叔母、自宅で暮らしている主人の両親をみています。それぞれのヘルパーさんが家事を手伝ってくれているので、定期的に様子をみにいったり、病院に付きそったりするのが私の役目です。これでも以前に比べると、自分の時間が持てるようになりました。

その時間で数年前から趣味のアクセサリーづくりをしています。認知症防止には手先を使った方がいいと言われているし、余計なことは何も考えずクリエイティブな作業に没頭できるのでストレス解消にもなっています。場所もとらないし、手軽で楽しいですよ。

きっかけはお友だちの影響ですが、今ではハンドメイドで最大級のマーケットサイトで販売もしています。自分でサイトを立ち上げて販売するのは大変ですが、初心者からプロまで利用しているサイトなので手軽に始めることができました。実際には完成した作品をサイトにアップして、友だちに現物を見てもらい、購入してもらうような使い方ですが。

今度、ハンドメイド仲間と空き家を再生利用する形でイベントを開催することになっています。といっても私が管理している空き家で、アクセサリーだけでなくキルトやパッチワークなど、いろんなハンドメイド作品を集めての「手作りフェア」です。仲間たちとの初めて実店舗販売なので、とても楽しみにしています。

ところで、安倍総理と意見交換会に参加されたお話を。

2019年11月に政府が開催した「全世代型社会保障改革に関する意見交換会」に介護などで短時間勤務や在宅勤務をしているパートタイム労働者の立場で参加しました。

意見交換会には、全国からパートタイム労働者や学生など10代から70代までの男女11人が首相官邸まで出かけて参加したのですが、これまでペンシルで働いてきた立場から、社会保険に対する意見や今後の社会保障への不安、また同じ職場で働く子育て中のほかのママさんたちの意見を取りまとめて、真向かいに座る安倍総理に提言しました。とても緊張しましたが、なかなか貴重な経験になりました。

以前自分が大きな病気をした経験から「人生は短い、どうしようと迷ったときにはやる方を選択しよう」と思うようになったことも、今回お受けした理由のひとつです。介護や病気を経験したことで人生観が変わりました。

関連記事:全世代型社会保障改革に関する総理と現場との意見交換会(2019/11/22)
https://www.pencil.co.jp/release/20191122_02/

 

PIC平川

将来の夢をお聞かせください。

数年前に父が亡くなって、杉林を相続しました。一族の分を合わせるとかなりの広さになるのですが、今は放置山林です。昨今の豪雨被害も森林の荒廃化が原因の一つともいわれていて、SDGsでも掲げられていますが、これからは森林の環境整備が重要になります。

そういうわけで、山を適切に運営していく手段を考えようと思っています。そのためには、山の整備だけではなくいろんな事業を抱き合わせにできないかと考えています。今度空き家を使って開催するハンドメイドのフェアもその一環です。

父や叔父の介護、それに伴う相続のことなどからいろんなことを学びました。どちらかというと何でも自分で知りたくて、きっかけがあれば人まかせにせず勉強したい方なので、あれこれ学ぶうちに、それなら資格でも取っちゃえってことでファイナンシャル・プランナー3級の資格を取りました。今後の資金計画などを考えるうえでも有用な知識になりそうです。

こういう情報収集や新しい事業について考えることなど、ペンシルでクライアントのウェブ戦略にいくらかでも関わってきたからこそやれていることです。長くお世話になれていて本当にありがたいと思っています。まだまだ介護や仕事だけでなく、いろんなことに挑戦していきたいです。

最後に

少子高齢化や核家族化が加速し年々増加する介護離職者は、いまや年間10万人を超えているとも言われています。企業にとってもこうした状況は事業への影響が大きく、介護離職の防止対策が重要な経営課題のひとつとなってきています。介護離職者をいかに減らしていくかについては、それぞれの会社や社会全体で考えていくべきことかもしれません。

ペンシルではスタッフが長く働き続けることのできる環境づくりを目的に、さまざまな取組みを進めています。今後とも全員のための大きな制度ではなく、一人ひとりにあった多様な働き方を提供することで、多様な人材が活躍できる環境整備を進めて参ります。

ペンシルダイバーシティ経営推進方針

株式会社ペンシルについて

株式会社ペンシルは、企業のウェブ戦略を成功に導く研究開発型のウェブコンサルティング専門会社です。独自の視点から実験や研究を重ね、研究結果によるノウハウをもとにクライアント企業のウェブサイトを分析し、ウェブからの売上や成約をアップさせるためのコンサルティングを実施しています。ウェブサイトの目的と目標を明確にするコンセプトワークから、アクセス分析、マーケティング、競合調査、企画提案、ウェブサイト制作など、ウェブサイトの入口から出口までを総合的に支援しています。ペンシルは「インターネットの力で世界のビジネスを革新する」を企業理念に掲げ、常に新しいインターネットの可能性に向けて挑戦を続けています。

この他の一人ひとりの能力を最大化し、価値創造につなげるペンシルの「ダイバーシティ経営」

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