座談会メンバー

それぞれの介護経験について教えてください

- 平川
- これまで、子どものいない叔父と叔母、私の両親、主人の両親の、一時期は最大で6名の介護を担って、介護生活は今年で12年目です。
その後、叔父と叔母は施設で、両方の父はそれぞれの自宅で看取り、現在は、どちらも90代の実母と義母の介護を担当しています。
実母は要介護2※で今年から施設に入所、義母は要介護1なので、自宅での生活を続けていますが、足元がおぼつかず転倒を繰り返している状況です。
義母は現時点では施設への入所を希望していないので私はケアマネージャーや病院との連携、緊急時の対応に加え、週1、2回は自宅を訪問して身の回りの世話を行っています。
※介護認定とは介護保険サービスを利用する際、介護の必要度に応じて要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分類される制度のこと
- 百瀬
- 私は介護世代ですが、まだ初心者だと思っています。高齢の義母はもともと地方に住んでいましたが、一人暮らしが難しくなったため、私の自宅から通える範囲の介護施設に入居し、現在は近くに住む義理のきょうだいがメインで対応してくれており、私は定期的に面会に行っています。
一方、90歳近い実の両親は実家で何とか2人暮らしを続けていますが、かろうじて暮らしが成り立っているような状態で、どちらか一方が入院するようなことがあると、たちまち困りごとが生じています。実家までかなり距離がありますが、定期的に帰省し、様子を見ているような状態です。
- 多田
- 今年から私の自宅で実母の介護が始まりました。というのも、母は庭で草取りをしている際に転倒し、圧迫骨折。そのけがをきっかけに認知機能の低下が見られるようになりましたが、「施設には絶対に入りたくない」と言うので、私が引き取り介護するようになりました。
これからどうすればいいのだろうと思っていましたが、ケアマネージャーと面談を行い介護認定を受け、リハビリも兼ねてデイサービス(通所介護)に通うようになったところ、少しずつ元気になってきました。
- 永江
- 学生時代、実家の祖母が認知症でした。現在は夫の母の介護をしています。義母は2年前に転倒して骨折し入院、入院とリハビリ生活の中で次第に認知症が進んでいきました。
現在は高齢者住宅へ入居していますが、親戚が近くにいないので入退院や役所関係の手続き、お金の管理、施設からの緊急時や各種相談の連絡先は全て私になっているため、私がメインで介護を担当しています。
- 志岐
- 母が他界してからは、実父、叔母、私の3人で暮らしてきました。父は80歳を過ぎた頃から、次第に認知症の症状が見られるようになり、物忘れ外来を受診し、要介護1の認定を受けました。ただ、本人がデイケア(通所リハビリテーション)の利用を嫌がったため、叔母が家事をしながら自宅で父の介助を続けてくれていました。
ところが、叔母が2年前に倒れてからたびたび入院を経験。父の世話はおろか、自身の日常生活にも支障をきたすようになり、逆に介護を受ける立場となってしまいました。その後、父は亡くなりましたが、私が叔母の介護を担うようになったため病院の付き添いや身の回りの世話、介護の手続きなど、状況に応じてときには在宅勤務をしながら、仕事と介護の両立に取り組んでいます。
介護で大変なことは何ですか?

- 平川
- 以前に比べたら、今はかなり負担が減ってきました。義母が自宅から絶対動かないという考えなので、そこを今後どこまで受け入れるのかが一番の悩みどころです。
- 志岐
- 私の場合も叔母に、リハビリの転院先を同意してもらうのが大変でした。
- 多田
- 本人だけでなく、ほかの家族や兄弟姉妹でも考え方が異なるのでいろいろな意見があって取りまとめが大変。介護に関することは育児より判断が難しいなと思います。
- 平川
- やっぱり、ある程度元気なうちに本人の意思を確認することや介護に携わる家族全員で介護方針を決めておくことが必要です。
- 百瀬
- なるほど、ほかに大変なことはありますか?
- 多田
- 母の認知症が進んできて、物忘れがひどくなったり、食事も好きなものしか食べてくれなくなったりしているのですが、今後どのようなことが起こるのか分からず、今は不安な気持ちでいっぱいです。
- 百瀬
- それは私も同じです。もう何年も前から、一体いつ本格的な介護が始まるのか、戦々恐々というか。私の世代だと、介護と縁のない人は見当たらないくらいです。
- 永江
- 介護は前もって予定が立つものではなく、病気や入院なども突発的に起こるので大変です。介護が始まった当時はまだ子どもたちも幼かったので、入院中の義母のことで病院から急な呼び出しがあれば、時間に関わらず子どもを連れて駆けつけなければなりませんでした。
また、子どもとの予定を急な呼び出しで取りやめなければならないこともあり、
そんなときは子どもたちに申し訳ない気持ちになり、落ち込むこともありました。
- 百瀬
- 「介護と仕事の両立」どころか、「育児・介護と仕事の両立」ですね。
- 永江
- あとはフルタイムで勤務しているため、仕事中に病院や施設から連絡を受けることも多く、昼休みに折り返しの電話をしているうちに、昼食を取れないこともしばしばあるので、時間的な負担が大きいです。
- 志岐
- 私も休憩時間に話し込んでしまった経験があります。
それでは、介護で大切なことはなんでしょうか?

- 平川
- 以前は寝たきりでも少しでも長く生きてもらうことが親孝行だという考え方が主流でした。現在は本人の人権への配慮もあり、その人がその人らしく人生を終えることが幸せなのではないか、という考え方に変わってきています。
- 多田
- 自分に置き換えてみると、本当にそのとおりですね。介護を担う人には、できる範囲でやってもらえればと思います。
子どもには自分を犠牲にしてまで世話をしてもらいたくないので、介護を受ける立場になったら、優先順位を下げてもらってもいいと思っています。
- 平川
- いろいろな介護を経験して、介護は子育て以上に人それぞれだなと感じています。結局は、自分が何を大切にしたいのかに尽きるのかもしれません。介護に正解はないので、それぞれが納得できる形を模索していくしかないのかと。
- 永江
- 私は労務担当として、40歳になる人を対象に介護と仕事の両立支援を目的とした柔軟な働き方の個別周知や意向確認を行っています。現在は介護制度がかなり充実しているので、利用できるサービスは積極的に利用して、介護者の負担を軽減して欲しいと思っています
- 百瀬
- その年代の方たちの介護への関心はいかがですか?
- 永江
- 個人差はありますが、まだ子育てが中心の世代なので、ほとんどの方は介護について実感が湧いていないようです。
- 志岐
- 私もそうでしたが、実際には、必要に迫られてから情報収集を始めることが多いですよね。
- 平川
- 前もってある程度の基礎知識や経験談は知っておくことが重要。制度についてもメリット・デメリットを少しでも知っていれば、いざというときに落ち着いて判断することができます。
社内で介護の話はされますか?

- 百瀬
- ここまでお話を伺ってきて、皆さんそれぞれにご苦労があることをはじめて知りました。やっぱり育児と違って、介護のことは具体的には話しづらいものですか?
- 永江
- そうですね。お子さんのことなら「発熱したので早退したい」、「入園式や卒園式でお休みしたい」など具体的な理由を聞きますが、介護についてほとんど聞こえてきませんね。
- 志岐
- 確かに、「ケアマネージャーと面談がある」「今日は介護施設の見学に行く」などは聞いたことがないし、私も話したことがありません。
- 百瀬
- 無理に全てを伝えなくても構わないとは思いますが、「救急車で運ばれた」「自宅で転倒して動けなくなっている」など、緊急性の高い状況だということはわかっていた方が、周りも配慮しやすいということはあります。
- 永江
- 介護をしていると、どこに相談していいのか、誰を頼ったらよいのか分からなくなることがよくあります。気軽に話を聞いてもらえる場があるととても助かります。
- 多田
- こういう介護をテーマに、気軽に参加できるような座談会が定期的に開催されるといいなと思います。人に話すことで共感が得られるしアドバイスももらえます。また、気分転換にもなるので。
- 永江
- 私は社内スケジュールには、あえて「有休」ではなく「介護休暇」や「看護休暇」と入れるように心がけています。そうすることで、介護や看護のために休暇を取得することが特別なことではない、という雰囲気づくりに少しでもつながればと思っています。
- 百瀬
- 「入学式」とか、「授業参観」のように浸透していくといいですね。
最後に、介護との仕事の両立のポイントは?

- 多田
- 私の場合、介護は心理的な負担が大きく、仕事をしていることで心のバランスが取れているような気がしています。なので、できる限り仕事を継続していきたいと考えています。
- 百瀬
- これは育児でも同じですが、仕事があるからこそ気持ちを切り替えられるという面もありますよね。介護を理由に仕事やキャリアをあきらめることだけは避けて欲しいです。
- 平川
- 介護はいつまで続くのか見通しが立たないため、それぞれが無理なく長く両立を続けられるスタンスで向き合うことが重要です。
- 百瀬
- 育児のように「いつからいつまで」という人生設計を立てられるものではないので、やみくもにも自分一人で介護を担おうと突っ走らない方がいい、ということですね。
- 志岐
- 本当にそうですね。頑張りすぎてしまう人ほど、「自分がやらなければ」と抱えこんでしまいそうです。
- 平川
- 実際には、介護する側が倒れてしまったら元も子もないんですよね。だからこそ、使える制度やサービスは積極的に活用した方がいいと思います。
- 多田
- ただ、最初の頃は何をどこまで人に頼っていいのかさえも分からないんですよね。
- 永江
- 会社には介護休業や介護休暇、看護休暇、短時間勤務、繰り上げ出勤制度、在宅勤務制度などひと通りの制度は整備されていますし、オリジナルの「介護と仕事の両立ハンドブック」もあります。
- 百瀬
- 育児で使える制度は介護でも適用されるように整備されていますが、あまり浸透していないのかもしれせん。
- 永江
- まずは一人で悩まず、周囲に相談することが大切だと思います。あとは、急に仕事を離れても代わりの誰かが対応できる体制が必要ですね。そのため、普段から無理をして一人で仕事を抱えこまないようには意識しています。難しいですが。
- 平川
- 経験してみて感じるのは、助けを求めることは決して悪いことではないということです。自分自身の生活や人生も大切にしながら、無理のない形で続けていくことが一番大事なのではないでしょうか。
さいごに。
今回の座談会では、実際に介護と仕事の両立を経験した社員から、介護に直面した際の悩みや工夫、既存の制度活用について率直な意見が交わされました。介護はいつ始まるかわからず、その状況や課題も一人ひとり異なります。そのため、制度の整備だけでなく、気軽に相談できる環境や、互いに理解し支え合う職場風土づくりも重要であることを改めて認識する機会となりました。
当社ではこれまでも、社員が介護離職を選択することなく、安心して長く働き続けることのできる環境づくりを目的に、介護と仕事の両立支援に向けたさまざまな制度や取り組みを進めてまいりました。今後も体験者の声に耳を傾けながら、介護を理由にキャリアや人生を諦めることなく、誰もが安心して働き続けられる環境づくりを推進してまいります。
ペンシルダイバーシティ経営推進方針
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