2016.06.17
社員一人ひとりがその能力や個性を最大限に活かしていきいきと働くことができる環境整備を進め、多様で自由な発想を持って生産性を向上することで自社の競争力強化につながる価値創造を行うため、ダイバーシティ経営を推進しているペンシル。その一端を担い、ペンシルのダイバーシティモチベーターとして、週1回気づいたらいつの間にかオフィスにいて、いつの間にかいなくなっている存在が「あなたの のぶゑ」です。
のぶゑはペンシルのコンサルタントでもなければ、マーケターでもありません。そんなのぶゑが「アドテック東京」に出ることになりました。「アド」でも「テック」でもないのぶゑが、日本のトップマーケターたちになにを伝えられるのか。これは、のぶゑのアドテック本番までの道を綴った記録です。
ペンシルのクライアントである、株式会社プリンセススクゥエアー様(以下プリンセススクゥエアー)にて開催されたのぶゑのLGBTセミナー。
プリンセススクゥエアー様は都内で唯一(※)LGBT専任担当者がおり、LGBT単身・カップルの都内マンション購入をサポートしています。物件を購入されるお客様へのサービス向上のため、のぶゑが講師となり、プリンセススクゥエアー様の社員約25名を対象にしたLGBTセミナーが開催されました。
セミナーを通して、LGBTを取り巻く環境と企業に求められるLGBT対応とはどのようなものなのか?に迫ります。
(※2016年4月プリンセススクゥエアー様調べ)
日本のLGBT人口は7.6%(2015年電通ダイバーシティ・ラボ調べ)と言われています。13人に1人ということになるのですが、この割合、実は「日本で多い苗字TOP4の佐藤・鈴木・高橋・田中さんの数」より多く、「左利き・AB型の数」とほぼ同じなのです。
急に身近に感じませんか?
これだけの割合で存在するLGBTへの対応を考えるにあたって、まず知らなければならないこと。それは、LGBTとは何なのか?LGBT以外のセクシャリティの存在や、性の分類、性の多様性とはどのようなことなのか、などLGBTに対する基本的な知識を身につけておくことです。
企業がLGBT対応を推進していくにあたり、基本的な知識を身につけて頂くために、LGBTの説明、日本では13人に1人の割合でLGBTが存在すると言われていること、性は「肉体の性(Sex)」「心の性(Gender identity=性自認)」「社会的な性(Gender expression=性表現)」「好きになる対象(Sexual orientation=性指向)」の4つに分類されること、LGBT以外のセクシャリティにはどのようなものがあるのか、LGBTの分類と多様性などをお伝えしました。
LGBT対応を考えるにあたって、次に知っておいて欲しいこと。
それはLGBTを取り巻く社会環境です。
まずは国家レベル、日本と海外のLGBTに対する取り組みの現状をお伝えしました。
2013年にロシアが同性愛宣言禁止法を制定した際、国際的な抗議活動が広がり、主要欧米諸国の首脳がソチ五輪開会式を欠席した事態を受け、2014年12月オリンピック憲章に性的指向による差別禁止が明記されたり、2015年6月26日アメリカ連邦裁判所で同性婚を認める判決が下されたりと、各国で支援や法整備が進んでいます。しかし、G8の中で同性パートナーの法的権利を認めていないのは日本とロシアだけで、日本は国連から状況を是正するよう再三勧告を受けています。2020年の東京オリンピックに向け、行政の動きは活発になっていますが、国際社会でみると日本の取り組みは大幅に遅れているのが実情です。
現在、LGBT支援方針を定めている国内企業は173社にのぼり、多くの企業がLGBTへの支援・対応を進めています。
行政の動きも活発になっている今、LGBT当事者にとっての社会の実情を数字を交えてお伝えしました。
異性愛者と比較して異性愛者ではない人の「自殺未遂率」は約6倍、「職場での差別的な言動がある」と感じている当事者は70%にも及びます。多くの企業・行政も動きが活発になっていますが、当事者への理解・受け入れは依然として厳しい状況にあると言えます。
LGBT当事者への理解・受け入れの実情は、上記の通りまだまだ厳しいものです。このような実情の中で、LGBT支援企業に対してLGBT当事者はどのように感じているのでしょうか?
LGBT支援企業の商品を「積極的に利用する」と答えた当事者は約7割にも及び、一般層より約2割も意識が高いといった特徴があります。
「価格や内容に関わらず積極的に利用する」と答えた当事者は22%、一般顧客層の9%に比べ2倍以上という結果となっています。また、一般顧客層の53%がLGBTをサポートしている企業の商品を積極的に利用すると答えています。
ここでお伝えしたいのは、企業としてLGBT支援を考える時に「直接的なマーケティング効果が望めるからLGBT支援を考えましょう」という事ではありません。「社会への影響力が大きい企業だからこそ、LGBTのことも考えてみてください」ということです。
「第1回LGBT座談会(後編)」の「LGBT市場に高まる関心には疑問の声も。ただし、当事者の存在は大きい。」で、当事者のみなさんがおっしゃっていたようにLGBTへの理解なく、ビジネスだけを考えた「にわかLGBT支援者」になってしまっては意味がありません。
LGBT支援をしたい、と言っても具体的にはどのように進めていけばいいのでしょうか?
にわかLGBT支援企業にならないために「社内」「社外」の両面での働きかけが必要になります。
社内、つまり社員への働きかけとして、今回のセミナーのような「社内研修・周知徹底」、そしてLGBT支援を含めたダイバーシティ推進を社として明示するための「社内倫理規定の見直し」や「企業WEBサイトへの方針掲載」をまずは行って頂きたいと思います。
社外、つまりLGBTマーケットおよび周辺購買層への働きかけとしては、「LGBTマナー研修」や「LGBTを考慮した商品開発」「イベントへの参加・協賛」そして、それらの活動を「SNS・メディア」で発信することが効果的です。
どれだけLGBT支援・ダイバーシティ推進をうたったとしても、社内での何気ない会話、電話、メールはもちろん、店頭での接客、SNSやサイト掲載の文章などにNGワードが使われていると「にわか?」という疑惑をもたれてしまいます。小さなこと・些細なことですが、とても大切なことです。こういったセミナーや研修を行い、企業風土にしていくことが重要なのです。
2016年5月18日に開催されたPED×Hakata。ペンシルのアドバイザーである中村修治氏によるトークイベントで、4名のゲストと世の中の「真ん中と境目」について議論を交わしました。人々の多様性を尊重するという想いを込めて「People Embracing Diversity」と銘打ち、頭文字をとって名付けられたPED。その名前の由来にふさわしいゲストのひとりとしてのぶゑが登壇し、「男と女の境目」をテーマに約200名の観客を前にトークが繰り広げられました。
1人のLGBT当事者として、等身大ののぶゑが語った想いと苦悩を通して、LGBTを含むダイバーシティという考え方・取り組みの大切さを感じて頂ければと思います。
男と女の境目にはLGBTがいる。そんな話から始まったトークセッション。
セクシャリティを細かく分類するとLGBT含めて50種類以上とも言われると知った中村氏の言葉。
男性と女性、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーというカテゴライズは実は意味がなく、突き詰めて考えれば一人ひとり違うのが当たり前であり、違っているから良い。
この言葉が、ダイバーシティの本質だと、のぶゑは思います。
1人のLGBT当事者として悩み、考え、歩いてきたのぶゑの理想もまた、中村氏の言葉と同じものでした。
男女二元論ではなく、最終的には誰もが好きになるものを好きになって、好きなように生きていければいい。
LGBTを特別扱いしてほしいのではなくて、単に存在を受け入れてほしい。
人と違っていていい、人と違っているからいい、という感覚が社会に浸透してほしいと心から思います。
そしてこの想いを伝え、カタチにしていく活動を続けていこうと思います。
セッションでは、30歳になるまで自分がゲイであることを親や友人などすべての人に隠していたというのぶゑの過去にも触れられました。
「カミングアウトしたときはどんな感じでしたか?」
と会場からの質問があり、最初は確執のあった母親に手紙で伝えたこと、3週間経ってようやく返事が届き、
「あなたが幸せになれるのであれば頑張りなさい、応援するから」
という手紙の一言に救われたこと。
その瞬間「ありのままの自分を初めて認めてもらえた」と感じ、それまで毎日見ていた景色が一気に輝いて見えたのを今でも覚えている
という話をしました。
のぶゑは、LGBT当事者であることを公表し、多くの人の前でLGBTの話をします。
こういった活動をはじめようと思ったパワー、今も続けられているパワーの源は、たぶん「ありのままで良い」と認めてくれる家族やみなさんがいるからなのだと思います。
今回は企業向けLGBTセミナーの内容から、企業がLGBTとどう向き合えば良いのか?に焦点を当ててお伝えしました。
そして、PED×Hakataというトークイベントで得られたのは「LGBTも含めた様々な個性とどのように向き合えばいいのか」への1つの答え。
のぶゑが語る熱い想いはアドテック本番で。
次回は「第2回LGBT座談会」の模様をお届けします。
第1回LGBT座談会同様、LGBT当事者にお集まりいただき、当事者があったらいいなと思う商品の開発に挑みます。
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