2019.01.18
2018年11月29日、ペンシルが東京国際フォーラムにて開催した、ペンシルのWEBマーケティングの研究実績や最新事例などを紹介する「PENCIL Innovation Conference 2018」の模様を紹介します。
昨年に引き続き2回目の開催となった「PENCIL Innovation Conference」。会場を東京国際フォーラムに移し、より多様化、複雑化するデジタルマーケティングに対応するためにセッショントラックは2つに。
企業とユーザーの絆やつながりを意味するエンゲージメントという指標が注目されるなか、様々なタッチポイントでユーザーとの適切なエンゲージメント形成を行い、ユーザーにとって付き合い続ける価値があると認識してもらうことが重要です。
大事なのはわかってる。
でも、本質がつかめず取り組みが遅れている――。
ペンシルが考えるエンゲージメントとは「ひとのキモチと企業のキズナ」、そして、ペンシルのエンゲージメントへのアプローチは「Strategy(戦略)」と「Passion(情熱)」。
ひとのキモチを数値化し、ひとのキモチだからこそ情熱をもって取り組む。今年のPENCIL Innovation Conferenceではエンゲージメントについて、ペンシルの研究成果・アプローチをお伝えしました。
株式会社ペンシル
代表取締役社長 COO
楽天株式会社
執行役員
グローバルアドディビジョン
アドプランニング統括部
ディレクター
株式会社エブリー
執行役員
DELISH KITCHENカンパニー長
共同創業者
カゴメ株式会社
マーケティング本部
通販事業部 主任
ヒューマナライズ
マーケティング研究室 室長
ヒューマナライズ
マーケティング研究室
R&D事業部
ゼネラルマネージャー
R&D事業部
マネージャー
R&D事業部
マネージャー
WEBコンサルティング事業部
ゼネラルマネージャー
WEBコンサルティング事業部
メディアマネイジメント局
NEx事業部 ゼネラルマネージャー
WEBコンサルティング事業部
執行役員CSO
AP部
ゼネラルマネージャー
カゴメ株式会社 マーケティング本部 通販事業部 主任 原 浩晃 様
楽天株式会社 執行役員 グローバルアドディビジョン アドプランニング統括部 ディレクター 紺野 俊介 様
株式会社エブリー 執行役員 DELISH KITCHENカンパニー長 共同創業者 菅原 千遥 様
株式会社ペンシル 代表取締役社長COO 倉橋 美佳
WEBが生活に浸透し、リアルとWEBの境界がなくなった現代において、マーケターに求められることは変わらず「お客様の支持を得ること」。そのためには膨大なデータや数々のツールやサービスといった「手段」の取捨選択を行っていかなければいけませんが、マーケターはどんな「目的」をどんな「手段」でクリアしていくのか。
PENCIL Innovation Conference 2018は、業界を代表するトップランナーによる議論で幕を開けました。
目的を達成するためには、顧客分析や一人ひとりへの最適化が重要。しかし、目的達成につながらない顧客対応はコストアップにもなり得ます。どのように顧客と向き合い目的を達成していくのか。どのような評価軸でコスト投下をしていくべきなのか。
それぞれの立場から購買行動や認知行動の変化、また、その変化に対する対応策を紹介し、目的達成につながる顧客分析や具体的な実行プロセスが語られました。
アプリ、SNS、サイネージなど様々な顧客接点を持つレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」を展開するエブリー様は、献立決めに悩む主婦を中心に従来の「検索型」ではなく「提案型」によるレシピ展開を行い、検索の前のプロセスでの顧客へのリーチを可能としているそうです。
また、従来の広告ではなく「企業が伝えたいこと」と「ユーザーが知りたいこと」の2つのニーズをブランドコンテンツとして制作・配信することにフォーカスするとともに、DELISH KITCHENの面を活用したフルファネルマーケティングで、広告主の商品のアプローチをあらゆるシーンにおいて自然な形で可能とするなど、コンテンツ制作における重要性や広告主の売上をあげるために配慮していることなども紹介いただきました。
独自の「楽天エコシステム」を形成し、1億以上(2018年9月時点)の楽天IDから得られるビッグデータを強みにする楽天様からは、データカンパニーとしてのあり方や今後のプラットフォーマーとしてどのような世界を目指しているのかを紹介いただきました。
Fact(事実)に基づく消費行動ビッグデータの分析項目は、属性データ、ポイント利用率検索・閲覧・購買データなど920項目にも及ぶそうです。そのデータを分析材料として消費行動を理解し、マーケティングソリューションに活用するAIエージェント「Rakuten AIris(楽天アイリス)」は、機械学習を利用して購買見込みが高いユーザーを予測する「Target Prospecting」機能を有し、企業のマーケティング活動を支援しているとのこと。
ECとインストア両方の購買データを保有する楽天だからこその、消費行動全ての段階に対応する次世代のフルファネルマーケティングが印象的でした。
1998年から通販事業に取り組むカゴメ様。昨今の物流費や商品原価などの高騰により収益の悪化リスクが深刻化するなか、単品リピート通販の本質である「お客様に継続購買いただく仕組み」を2018年度中に確立することを目的に新しいCRMプロジェクトがはじまったそうです。
「LTVアップ」と「ファンレベルアップ」の2つの軸から、ファンレベル向上を図るためのオリジナル指標を開発したり、仮説を深堀りしてファン度の高い顧客行動の洗い出しを実施し、LTVとの相関性を導いていったとのこと。
通販というビジネスモデルのなかで、体験型キャンペーンやファンとの商品、サービス共創など、購入以外の価値提供をどうとらえているかなど、20年間に渡る通販事業のノウハウと実行力からファンレベルを行動可視化するCRM戦略が築き上げられているようです。
ヒューマナライズマーケティング研究室 室長 松枝 周作
ヒューマナライズマーケティング研究室 高木 一
人とその生活を数値化し、そのデータ分析をミッションとするヒューマナライズマーケティング研究室の2名は、ペンシルが提唱する「CEM(Customer Engagement Management)」に基づき、顧客推奨度(NPS®)と愛着度で顧客エンゲージメントを多面的に捉え、愛着の種類とNPS®の得点を組み合わせることにより、どのような愛着がLTVに貢献し、拡散につながるかについて研究結果を発表しました。
カゴメ様にご協力いただき、野菜ジュースやサプリメントを中心に販売するオンラインショップ「健康直送便」にてアンケート調査を実施。感情、情報、視覚といった、サイト利用者の愛着を示す因子に影響する設問が特定でき、さらにクラスター分析により類似ユーザーを6つのクラスターに分類・比較するなど、愛着の因子とNPS®とLTVの相関・因果関係を深掘りしました。
結果、健康直送便の場合、「情報」、「視覚」の順にNPS®に影響することが明らかになったとともに、NPS®の向上により感情的な愛着が高まることでLTVが高まることが判明しました。また、エンゲージメントを向上させる対策として、LTVへの影響が大きい「情報」への愛着は一定の評価を得ているため、「視覚」への愛着を高める施策が効果的と考えられます。
今回の研究では、愛着度を取り入れることで体系的にエンゲージメント分析の解像度を上げることに成功しました。この手法により、WEBサイトの愛着因子を分析し、エンゲージメントやLTV向上に寄与することが可能であると考えます。また、将来的にはユーザー心理をリアルタイムに分析し、WEBサイトにフィードバックすることで、UXを高めていく構想も発表されました。
R&D事業部 ゼネラルマネージャー 平川 寿江
顧客エンゲージメントを高めることがマーケティング成功のカギとはわかってきたものの、直接的に売上が計算・想定しやすい「獲得」をメインにコスト投下の判断をしてしまうことが多いのが現状ではないでしょうか。エンゲージメント向上への優先順位や投資判断を行うため、「感覚的判断」を「価値判断」に変え、本当に売上につながるのかどうかという根本の疑問を検証しました。
健康食品通販企業2社で検証したところ、推奨度(NPS®)が高いほどLTVが高くなるという結果に。A社に至っては、平均値に対して28%も高くなるという結果がでました。また、継続期間が長いほど、推奨度も高くなっていることも判明。
この実験でも推奨度とLTVの因果関係が証明されましたが、継続年数以外にもその理由はあるのでしょうか。分析を続けた結果、NPS®が高い推奨者は「継続年数が長くなる」「購入回数が増える」「購入単価が高い」ことが判明し、顧客とのエンゲージメント創出により、LTV、つまり未来の顧客価値が高まることがデータからも明らかになりました。
NPS®とアンケートを組み合わせ、ユーザーの満足度や期待との相関の検証も実施。NPS®をはじめとする複数の要素が「満足度」や「続けたい度」を高め、それが継続期間を延ばすことにつながり、結果、LTVが高くなるという関係がわかりました。
さらに、アンケート結果を「品質・要求の最低限要素」「競合比較される要素」「インパクトが薄く優先度が低い要素」「企業の独自性・差別化しやすい要素」の4象限に分類し、自社のどの要素を高めることが満足度やNPS®に影響しやすいかがより明確に。
例えば、「同梱物の満足度」の項目を上げるとLTVにどう寄与するのか?といった疑問に対し、相関係数をもとに試算することができるようになり、価値判断として数値で比較することも可能になります。有限の工数、コストをどこにどのように振り分けるべきか、有効な判断材料になるのではないでしょうか。
R&D事業部 マネージャー 関 洋祐
EC4.0時代のWEB接客=エンゲージメントWEB接客。しかし、近年様々なWEB接客ツールがリリースされるなか、コミュニケーションのタイミングや頻度を最適化し、レコメンドなどユーザーにとって有益と思える対応を行った結果、「売る接客」ばかりになっていないでしょうか。
WEB接客においても、その時だけのCVRではなく、どうすれば感謝され・感動され・常連になってもらうための「もてなす接客」ができるのかを紹介しました。
例えば、購入を迷っているお客様をみつけた時に、クーポンを表示して購入を後押しするのか、お客様が不安に感じていることを丁寧に説明するのか。これまでのセッションでも証明されたとおり、直接購入に結びつかないおもてなしの施策も、中長期のLTVに換算して評価が可能となっています。
「おもてなし」の観点から、自社の顧客がどのような体験を求めているか把握し、どんな体験を強化することが自社のLTVに直結しているのか知ることが重要です。
LTV向上につながるエンゲージメント接客を実行するには、誰に対して、どの場面で、どのように接客を行うべきか。初来訪のユーザー、購入に迷っているユーザー、情報収集ユーザーなど来訪目的の違うユーザーに対し、トップページ、カテゴリページ、商品詳細ページ、会社概要など様々な場面でどのようなエンゲージメント接客ができるのかをまとめた「エンゲージメント接客MAP」をもとに、その具体例を紹介しました。
WEB接客のKPIは、CVRだけではなく、NPS®や愛着度など目的に応じて設定することが大切です。LTVに寄与する顧客体験を調査分析し、自社にあった独自のエンゲージメント施策を設計していく必要があります。
R&D事業部 マネージャー 尼﨑 祐輔
健康食品やサプリメントに即効性がないことはユーザーもわかっています。それでも「このくらいは効果があるんじゃないか」と期待するなか、購入後にその期待に達しないと解約や引き上がらないといった結果に終わってしまいます。
つまり、期待に応える動きは、購入後からフォローをはじめる従来のCRMでは間に合わず、ペンシルが提唱するCEM(Customer Engagement Management)の考え方にもあるように、認知の部分からエンゲージメントを形成していく必要があります。
無理な出会いや、過剰な期待は一時的な成功にはつながるかもしれませんが、その後の「好き」には限界があるのではないでしょうか。本セッションでは、「好き」を育て続けるための出会い方として「正しい顧客に販売すること」、「顧客の期待を最適化すること」を重要な要素として紹介しました。
まず、同一商材における媒体別モチベーションマップのFVを比較し、具体例として紹介しました。そこには読了率やクリックの場所など、明らかな違いが。また、誘導元によってLTVに寄与する媒体もあれば、瞬間的なCV増加に役立つ媒体も。重要なのは、どの媒体で獲得するかではなく、その広告を誰に見せるかということなのです。
では、「誰に見せるか」を知るにはどうすればいいのでしょうか。ペンシルが行っているアプローチのひとつは、アンケート広告を利用し、回答者の属性を分析することでリーチできていないターゲットを洗い出す顧客発掘調査です。
実際の事例では、女性向け商材だと思っていた商品が、この調査を行ったことで実は女性とは全く異なる動機で男性にニーズがあることがわかりました。このように、自社にとって正しい顧客を発見することが出会いを制す第一歩と言えます。
顧客の期待が高い状態のなか、より長く継続してもらうためには、出会った時点で顧客の期待を適正に調整する必要があります。そのためには、オファーや商品説明以外にも、顧客を納得させるためのコンテンツが必要なのではないでしょうか。
FVからはじまり、問題提起、解決策と進み、強みや成分の後にクロージングという流れの従来のLPに対し、ペンシルでは顧客に読ませるのではなく納得させるためのLP作りを研究し、購入時点から継続のモチベーションを高めるLPの研究結果を紹介しました。利用シーンや、品質、顧客ボイスも商品説明やオファーと同等レベルのコンテンツを用意することで、顧客を納得させる「エンゲージメントLP」です。
検証の結果、エンゲージメントLPは、初回定期率、引き上げ率、LTVの全ての項目で従来のLPを上回っていました。一方的な情報の投げかけではなく、顧客が納得して商品を購入するため、結果として、期待を最適化することができ、その後の引き上げやLTVに好影響をもたらすことがわかった事例です。
WEBコンサルティング事業部 ゼネラルマネージャー 馬場 孝一
BtoBや旅行・交通系のWEBサイトで多くの成功事例を持つWEBコンサルティング事業部からは、代替するサービスが世の中に多く、価格や立地などWEBで改善しにくい要素がサービス選択の理由になりやすいという特徴を持つ旅行・交通業界のWEBサイトでエンゲージメントを高める検証結果を発表しました。
WEBでより売上を伸ばしていくためには、見るべきポイントが足りていないのでは?サイトの使い勝手で差をつけるのではなく別の視点が必要なのでは?サイト導線や訴求だけではなく、もっと広い視野でみることでどんなことがみえてくるのでしょうか。
今回の検証では「どの経路で利用に至ったか」「サイトで見えていないが見るべきポイントはないか」「サービス利用自体に課題はないか」という3つの視点でエンゲージメントを可視化しました。
経路に関する分析では、利用経路によってリピート率やLTVに2倍以上の差があるという結果に。サイトに関する分析では、通常の導線マップに加えて在庫がある(提供の上限がある)サービスが機会損失につながっていないか?という視点でデータを蓄積できるようにシステムを改修。
在庫がないと表示したユーザーはエンゲージメントが下がりLTVも落ちているのではないかという予想に反し、在庫切れが発生すると批判者の比率が高くなるものの、推奨者も多く、想定していたほどの相関はみられないという結果でした。
サービスに関する分析では、サービス利用後のユーザーにNPS®に基づくアンケートを実施し、サービス視点でネックとなっている部分がないかを検証しました。その結果、「店舗スタッフの対応」や「スムーズにサービスが利用できるか」がLTVに大きく影響していることがわかりました。
経路・サイト・サービスの3つの視点が売上に対してどのように影響しているかを深掘りすると、「サイト」の比率が8%と一番影響度が低いという結果に。しかし、アプローチが足りていないという仮説のもと、経路やサービスに関するネックを解消することでサイトの影響度は36%まで高まり、結果的に全体のLTV向上がみられました。
サイトだけを見ていても本当の課題は見えない場合もあります。サービスの流れ全体を可視化し、そこで見つけた課題をWEBで再アプローチすることがLTVに寄与するのです。WEBサイトだけではなく、オンラインとしての全体視点でデータから課題を見つけ出し、適切な対策をとることが求められていくのではないでしょうか。
WEBコンサルティング事業部 後藤 尚功
メディアマネイジメント局 福島 涼
ユーザーに自社商品・サービスを認知してもらう手段として欠かせない手法であるWEBプロモーション。多くの企業がプロモーションを実施し、競争が激化しているいまだからこそ「プロモーション競争に巻き込まれてはいけない」というメッセージを伝え、プロモーション戦略の見直しのきっかけしていただくために、WEBコンサルティング事業部とクライアントに最適なプロモーション戦略を提案するメディアマネイジメント局が「心を動かす集客戦略」を紹介しました。
インターネット広告媒体費が堅調に伸びるなか、その大部分を占めるリスティング広告・ディスプレイ広告の運用型媒体では、配信面の熾烈な入札合戦が繰り広げられています。クリック単価も上昇するなか、良い企画やクリエイティブをつくっても、予算規模で勝る競合他社にはなかなか勝てない状況です。つまり、限られた時間と予算の中で、プロモーションの効果を最大化するには「戦い方」を変える必要があるのです。
戦い方を変えた事例として、都内で不動産仲介業を中心に活動するプリンセススクゥエアー様を紹介。大手不動産ポータルや大手不動産業者という競合が多数存在するなか、入札価格が高いことからキーワードの買い付けに困難を抱え、大手のように指名(自社)ワードでの検索や申し込みがないこと、また、SEOでの集客・申し込みを大幅に増加できたものの売上につながらないといった課題がありました。
注目したのは、競争が熾烈な顕在ユーザーではなく、需要が顕在化していない潜在ユーザーへのアプローチです。潜在から顕在への引き上げはよく行われる施策でもありますが、認知経路の徹底的な多変量分析を実施し、初回接触ページとして一番優れているのはLPではなく体験談ページということを明らかに。一番購入につながりやすいコンテンツ閲覧の順番やコストを投下すべきポイントを発掘し、予算を増やさずに売上を伸ばすことに成功しました。
問合せからの成約率は、サイト全体の5.8%に対し、今回のベスト経路では14.3%と2.4倍の結果に。体験談を最初に見せることで「自分でも買える」とユーザーの心を動かしたことが寄与したと考えられ、「出会い」と「おつきあい」を演出し、媒体とコンテンツの2軸での経路分析でベスト経路を発見できた事例です。
自社が戦っているポイントは正しいのかを疑い、購入/成約にいたるまでの一連の「プロセス」を評価するプロモーション戦略がますます必要になっていきます。
NEx事業部 ゼネラルマネージャー 伊東 菜緒
WEBコンサルティング事業部 江越 広大
一見マイナスと思われる離脱や直帰。CEM(Customer Engagement Management)における「離脱」は、WEBサイトからの離脱ではなく、価値形成からの離脱、つまり、ユーザーが価値を感じなくなってしまうことによる離脱と考えています。しかし、CEM(Customer Engagement Management)ではサイト離脱は決して悪ではなく、あくまでも「一時的な検討期間」としてとらえられます。本セッションでは、マイナスと思われるアクションをプラスに転換する取り組みを紹介しました。
比較検討が重要なサービスや商材であればあるほど、また、生活が多様化して「今が買いどき」というポイントを掴むのが困難になればなるほど、1回目で契約することはなかなかない状況です。また、WEBにおいては、PCやスマートフォンの画面上での接客となるため、相手の顔が見えず、また非常に簡単に他サービスや他商品との比較検討ができることから、1回目で契約しないという傾向は更に顕著だと考えられます。
実際に数社のサイトでCVに至ったユーザーを分析した結果、ECサイトにおいては約10〜50%のユーザーが当日中に申し込まず、リード系サイトにおいてはその数が約30〜60%という結果でした。つまり、それだけ離脱後にCVしているユーザーがいるということでもあり、離脱前の体験がいいものであれば、ユーザーは戻ってきて購買・契約してくれるということです。
サイト離脱時の去り際に、いかに好きになってもらうか。WEBでも「お見送りをする」という考え方を取り入れる事が必要です。例えば、月額300円〜500円程度の有料情報会員の契約を提供するサービスの事例では、LPに来たけど契約せずに離脱しようとした来訪者に対し「10日間だけ無料会員体験しませんか?」とお見送りの一言を添え、お客様とのつながりを維持しました。
無料期間終了後に有料会員に転換したユーザーは約1割と、決して少ない数字ではありません。エンゲージメントをブレイクさせずに、つながりを維持した状態で離脱してもらうことで、お客様に愛着を持ってもらい、売上につなげることができた結果です。
また、顧客が耳を傾けやすいお見送りの言葉の選び方の具体例や離脱をした段階など顧客レベルに合った情報・オファーを見極め、その顧客に応じた声掛けも紹介。顧客がサイトから離脱した後に、再度「おかえりなさい」とお迎えできる仕掛けの重要性を解説しました。
執行役員CSO 佐藤 元泰
AP部 ゼネラルマネージャー 曽川 雅史
「エンゲージメント」という言葉を、今年何度耳にしましたか?
今年のPENCIL Innovation Conferenceでは、大事だということはわかっていても、本質がつかめず取り組みが遅れがちになっているエンゲージメントをテーマに開催しました。各セッションで紹介したように、エンゲージメント向上がLTVに影響するという数値的な側面があることはもちろん、ユーザーのキモチに寄り添い企業とのキズナを形成していくことで、付き合い続ける価値を提供し、それが「True Lifetime Value」になっていくのではないでしょうか。
ユーザーの「好き」が多様化した昨今、旧態依然の考え方では成功することが難しくなってきています。ペンシルは、ユーザーにいつまでも自分たちのブランドを好きでい続けてもらう、そして、その理由を提供し続けることができるマーケティング活動を支援し、今後も様々な分野で研究開発を続けながら、ひとのキモチを数値化するStrategyと熱いキモチであるPassionを持って、私達自身も皆さまに「好き」と思い続けてもらうことができるよう、これからも日々邁進して参ります。
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